キカ・キャスが所蔵する現代アートのコレクションです。 2020年より収集してきた国内外の作家の作品です。一部はオンラインにてご購入いただけます。 This is the contemporary art collection of KIKA cas. It features works by artists from Japan and abroad, collected since 2020. Some of the works are available for purchase online.

KIKA collection – 空気体 vol.03

物質が気化し、形を変えながらもなお痕跡を残し続けるように、現代アートは社会の奥深くに浸透していきます。
本展では、そうした「空気体」としてのアートの在り方を、さまざまな視点から見つめ直します。

コレクション展『KIKA collection – 空気体 vol.03』
2025年08月02日 - 08月10日
HIGURE 17-15 cas にて開催

江見侑香《moratorium》

人生の転換期や迷いの中で立ち止まる時間に寄り添うように、江見侑香の本作《moratorium》は制作された。手すりのようなこの作品は、前に進みたくても動けない瞬間にそっと支えとなり、人の温もりを感じさせる。

An Onghena《 The Far Side of Paper, Recomposed 》

アート・オブジェとしての本に魅了されてきたアン・オンヘナは2024年、旧キカ・ギャラリーにて、自身で製本した本を自作のナイフで解体し、その構造を空間へと再展開するパフォーマンスを行った。ページのひだや折り目は、夜空に浮かぶ月のクレーターのように、既知と未知、レクト（表）とヴェルソ（裏）のあいだに広がる想像の風景を描き出す。

太田恵以《braiding in the water》

元バレエダンサーとしての経験、移民としての背景、日本とアメリカを行き来する生活から、太田恵以は夢と記憶の超現実主義的な表現を探求している。絵画を中心的なメディアとする一方で、彼女のインスタレーションは、不透明と透明、演者と観客、静と動といった境界の曖昧さにも目を向けている。

KUO-WEI LIN《Thermograms》

林國威（リン・コウウェイ）の作品は、交換という行為における物理的・感情的側面の探究を中心に展開されている。《サーモグラム》は、穴を開けた金属板を通して感熱紙に熱を通すことで制作された作品である。そこには、空気や熱の回流、物質が状態を変化させるプロセスが可視化されている。目に見えない「熱」や「動き」を媒介に、林は私たちの身体や環境がいかに相互に関係し合っているかを静かに問いかける。